岩手県にむかしから伝わるご当地妖怪を日本地図とイラストで一覧表にして紹介します。
ざしきわらし、黄金の牛、海座頭(うみざとう)、迷い家(まよいが)…。あなたの知っている妖怪もいるかもしれません。妖怪といっしょに都道府県の特徴や自慢などを紹介しているので、ぜひ覚えてくださいね。
岩手県の妖怪・伝説
ざしきわらし
家に住み着くと栄えると言われる子供の妖怪
「ざしきわらし」は、おもに岩手県に伝えられている、子どもの姿をした妖怪です。
古い家の座敷(ざしき)や蔵(くら)に住み、住みついた家は栄えるので福の神の一種だと言われています。子どもには見えても、大人には見えないという説もあります。
黄金の牛(おうごんのうし)
孝行息子を助けた黄金の牛伝説
金の取れる鉱山(こうざん)に伝わる「黄金の牛」伝説です。
岩手県の遠野地方に伝わる話では、ある長者(ちょうじゃ)が鉱山で牛の形をした金塊(きんかい)を掘り当てました。鉱夫(こうふ)たちは坑道(こうどう)でお酒を飲み、おおいに喜びました。
しかし、牛の角に綱(つな)をつけて引き出そうとすると角は折れてしまいました。さらに牛の首に綱をつけて引いたところ、牛が2、3歩動いたと思ったとき、坑道が崩れ落ちて坑夫たちは死んでしまいました。
ところで、山には鉱夫たちのご飯の支度(したく)をする男がいました。男は正直者で、老母をいたわる孝行息子でしたが、鉱夫たちにはいつもバカにされていました。
金の牛を引っ張るとき、ごはん係の男も鉱夫といっしょでした。しかし、外から男の名を呼ぶ声が何度もしたので穴から出た瞬間(しゅんかん)、坑道が崩れ落ちたといいます。不思議な「声」に助けられ、正直者で優しいこの男だけ助かったと伝えられています。
『土の鈴』著 佐々木 喜善より
海座頭(うみざとう)
漁師をおどかしたり船を沈めようとする妖怪
「海座頭(うみざとう)」は、右手に杖(つえ)を持って琵琶(びわ)を背負い、海に住む巨人の妖怪です。右手に杖を持ち、背中には琵琶を背負うと言われています。
岩手県の三陸沖(さんりくおき)に現れる海座頭は、人をおどかしたり船を沈めようとすると伝えられています。
迷い家(まよいが)
山の中に突然現れる、富をもたらす家
民俗学者・柳田國男の『遠野物語』によれば、迷い家(まよいが)とは、訪れた者に富をもたらすとされる山中の幻の家の伝承です。訪れた者は、その家から物品を持ち出してもよいと伝えられています。
ある日、フキを取りに行った女が山中で立派な黒い門の家を見かけました。大きな庭に紅白の花が一面に咲き、ニワトリや牛、馬が飼われています。玄関よりそっと中に入ると、朱と黒の膳椀(ぜんわん)がたくさん出されていました。しかし、人の気配はありません。
もしかして山男の家ではないかと女は不安になり、逃げ出して家に帰りました。そして、川で洗い物をしていると、川上より赤い椀が一つ流れてきました。あまりに美しいので持ち帰り、雑穀(ざっこく)を計る器としましたが、この椀で雑穀を計ると不思議なことにいつまでも雑穀はなくなりません。その後、女の家には次々と幸運が訪れたといいます。
※妖怪の話はこちらに掲載されている内容と異なるものもあります。
※同じ妖怪・似た話がほかの都道府県にも伝わっている場合があります。
※妖怪のイラストはイメージです。