北海道にむかしから伝わるご当地妖怪を日本地図とイラストで一覧表にして紹介します。
コロポックル、ミンツチ、オッケルイペ、ラプスカムイ、船幽霊(ふなゆうれい)…。あなたの知っている妖怪や伝説があるかもしれません。妖怪といっしょに都道府県の特徴や自慢などを紹介しているので、ぜひ覚えてくださいね。
北海道の妖怪・伝説
コロポックル(コロボックル)
フキの葉の下に住む小人の伝説
コロポックルは、北海道のアイヌ民族に伝わる小人の伝説です。アイヌ語で「フキの葉の下に住む人」という意味で、背が低くとてもはずかしがり屋で、人前に姿を見せることはあまりありません。狩りや魚つりが上手だといわれています。
伝承によると、むかしコロポックルは十勝(とかち)にすんでいました。ときどき家の窓から中に椀や鮭の卵が置かれるので、村人は不思議がっていました。あるとき、コロポックルが窓から物を入れるために手を差し入れたのを村人が無理に引き入れました。コロポックルは無礼だとひどく怒り、一族を挙げて北の海の彼方へと去ってしまいました。以降、その姿を見ることはなくなったといいます。
ミンツチ(ミントゥチ)
魚を支配する神、ミンツチ
ミンツチ(ミントゥチ)はアイヌに伝わる妖怪で、水辺にすむ河童(かっぱ)の仲間で魚や猟(りょう)をつかさどる神です。7~8 歳の男の子の姿をしており、足が内側に曲がっています。頭にある皿に水が入っていると馬でも人でも水に引きずり込んでしまう力があるといいます。また、人間の村に遊びにくることもありますが、ときには悪さもすると伝えられています。
むかし、北海道に疱瘡神*(ほうそうしん)が渡ってきたため、たくさんのアイヌの人々が疱瘡(ほうそう)にかかり、病死しました。当時、アイヌの世界を治めていたオキクルミ神は、ヨモギを十字に結んだ草人形を作って疱瘡神と戦わせました。その草人形がミンツチになったと言われています。
石狩川(いしかりがわ)周辺の地域では、ミンツチは魚を支配する神だと言われています。ミンツチは魚をたくさん捕らせてくれますが、ときどき漁場で働く人を捕ってしまいます。困った石狩の老人達は、ミンツチに日高の方に移るよう頼みました。それからは石狩川で人が死なくなりましたが、同時に魚もあまり捕れなくなったということです。
*疱瘡神(ほうそうしん):疱瘡(=天然痘てんねんとう)という病気を神としたもの
『北海道の河童』著 金田一京助より
オッケルイペ
ポアポアとオナラをする妖怪
オッケルイペ(またはオッケオヤシ)は、アイヌに伝わるオナラをする妖怪です。アイヌ語で「オナラをする者」という意味です。オッケルイペがオナラをしたとき、人も屁をしてやるとオッケルイペは恐れ入って退散すると言われています。
樺太(からふと)アイヌに伝わる話では、オッケルイペが「ポア」とオナラをし、勢いで船を破壊してしまいました。オッケルイペは若い男の姿をしており、正体は黒いキツネだったといいます。
船幽霊、舟幽霊(ふなゆうれい)
船を沈めようとする幽霊船
船幽霊(ふなゆうれい)は日本全国に伝わる海上のオバケで、船を沈めようとするなどの悪さをする妖怪です。
北海道に伝わる話では、沈没したはずの船が現れ自分たちの船に平行して走りだしたといいます。なんとか港の近くまで帰ってきたところ、大音響とともに消えてしまいました。
その後、お坊さんがお経を唱えると船幽霊は現れなくなったそうです。
ユウレイ船は港へ入っても波一つたたない、安全灯が一般の船と反対になっているなどの見分け方があると伝えられています。
ラプスカムイ
ラプスカムイは、毒気(どくけ)を吹いてくる正体不明の怪鳥です。
北海道中川郡豊頃町十弗(とうふつ)の村に住み、ラプスカムイを吹き通してくる風にあたると毒気を受けて病気などの災いがもたらされるといいます。
『杖のみたま』著 吉田巖より
※妖怪の話はこちらに掲載されている内容と異なるものもあります。
※同じ妖怪・似た話がほかの都道府県にも伝わっている場合があります。
※妖怪のイラストはイメージです。