世界遺産(せかいいさん)とは、世界遺産一覧表に記載されている、人類共通のかけがえのない財産として、将来の世代に引きついでいくべき自然や文化財のことです。
※ユネスコの世界遺産条約(「世界の文化遺産及び自然遺産の保護に関する条約」):1972年採択・1975年発効
世界遺産として登録されるには、遺産の価値が認められ、その遺産を未来に向けて大切に守り続ける仕組みが整っていることなどの条件があり、厳しい審査を受けなければなりません。
※ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)
世界中の国が教育、科学、文化を通じ協力をしている国際連合の専門機関
日本地図で覚える「世界遺産」
世界遺産の種類は、文化遺産(ぶんかいさん)、自然遺産(しぜんいさん)、複合遺産(ふくごういさん)の3種類です。
- 文化遺産:記念物や建物、遺跡など
- 自然遺産:特徴的な地形や美しい風景、貴重な動植物の生息地など
- 複合遺産:文化遺産と自然遺産の両方の価値があるもの
日本では1993年、「法隆寺地域の仏教建造物(奈良県)」、「姫路城(兵庫県)」の2件が世界文化遺産に、「白神山地(青森県、秋田県)」及び「屋久島(鹿児島県)」の2件が世界自然遺産として世界遺産一覧表に記載されました。
以降、世界文化遺産は20件、世界自然遺産は5件登録されています。(2020年6月時点)
世界遺産に関するテストは、世界遺産と日本地図をセットで出されることが多いです。世界遺産だけでなく都道府県名や位置も一緒に覚えておきましょう。
日本の世界文化遺産
北海道・北東北の縄文遺跡群 | 【 北海道 、青森県 、岩手県 、秋田県 】 |
平泉-仏国土(浄土)を表す建築・ 庭園及び考古学的遺跡群- | 【岩手県】 |
日光の社寺 | 【栃木県】 |
富岡製糸場と絹産業遺産群 | 【群馬県】 |
ル・コルビュジエの建築作品 近代建築運動への顕著な貢献 ※他、フランス・ドイツ・スイス・ ベルギー・アルゼンチン・インド | 【東京都】 |
富士山-信仰の対象と芸術の源泉 | 【山梨県、静岡県】 |
白川郷(しらかわごう)・ 五箇山(ごかやま)の 合掌造り(がっしょうづくり)集落 | 【岐阜県、富山県】 |
古都京都の文化財 | 【京都府、滋賀県】 |
百舌鳥・古市古墳群 (もず・ふるいちこふんぐん) ‐古代日本の墳墓群‐ | 【大阪府】 |
姫路城(ひめじじょう) | 【兵庫県】 |
法隆寺(ほうりゅうじ)地域の 仏教建造物 | 【奈良県】 |
古都奈良の文化財 | 【奈良県】 |
紀伊山地(きいさんち)の 霊場と参詣道(さんけいみち) | 【三重県、奈良県、和歌山県】 |
石見銀山(いわみぎんざん)遺跡と その文化的景観 | 【島根県】 |
原爆ドーム | 【広島県】 |
厳島神社(いつくしまじんじゃ) | 【広島県】 |
「神宿る島」宗像・沖ノ島と 関連遺産群 | 【福岡県】 |
明治日本の産業革命遺産 製鉄・製鋼、造船、石炭産業 | 【福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、 鹿児島県、山口県、岩手県、静岡県】 |
長崎と天草地方の 潜伏キリシタン関連遺産 | 【長崎県、熊本県】 |
琉球王国(りゅうきゅうおうこく)の グスク及び関連遺産 | 【沖縄県】 |
日本の世界自然遺産
※2021年現在、日本に複合遺産(ふくごういさん)はありません。
日本の世界遺産の覚え方
知床(しれとこ)~北海道
北海道の知床(しれとこ)はホウオウのクチバシの部分にある半島で、2005年に世界自然遺産(せかいしぜんいさん)に登録されました。
冬、知床にはオホーツク海から流氷(りゅうひょう)が流れ着きます。流氷とともに運ばれてくる栄養分は知床の海を豊かにし、魚類やアザラシなどの海獣類、鳥類などの命をつなぎます。
さらに川に遡上する鮭が山の生き物のエサとなることで、海と山の一大食物連鎖が形成されています。
また、知床にはシマフクロウやシレトコスミレといった希少な動植物が生息しています。
※特別出演:ヒョウ(兵庫県)・リュウ(鹿児島県) このキャラは知床半島には関係ありません。
北海道・北東北の縄文遺跡群~北海道・青森県・岩手県・秋田県
「北海道・北東北の縄文遺跡群」は、北海道・青森県・岩手県・秋田県にある17の遺跡で、2021年に 世界文化遺産(せかいぶんかいさん)に登録されました。 1万年以上にわたり採集・漁労・狩猟により定住した人々の生活と精神文化を伝えています。
(大平山元遺跡、垣ノ島遺跡、北黄金貝塚、田小屋野貝塚、二ツ森貝塚、三内丸山遺跡、大船遺跡、御所野遺跡、小牧野遺跡、入江貝塚、伊勢堂岱遺跡、大湯環状列石、キウス周堤墓群、大森勝山遺跡、高砂貝塚、亀ヶ岡石器時代遺跡、是川石器時代遺跡)
三内丸山遺跡(青森県)の覚え方
白神山地(しらかみさんち)
青森県と秋田県にまたがる白神山地(しらかみさんち)は、1993年に世界自然遺産(せかいしぜんいさん)に登録されています。
白神山地には、人の手がほとんど入っていないブナの原生林(げんせいりん)が世界最大級の規模で広がっています。また、さまざまな動植物が生息(せいそく)する貴重な生態系(せいたいけい)が見られます。
日光の社寺~栃木県
1999年、栃木県日光市の二荒山神社(ふたらさんじんじゃ)、東照宮(とうしょうぐう)、輪王寺(りんのうじ)の103棟の「建造物群」と、これらを取り巻く「遺跡(文化的景観)」が「日光の社寺」として世界文化遺産(せかいぶんかいさん)に登録されました。
日光東照宮は、江戸幕府(えどばくふ)の初代将軍である徳川家康(とくがわいえやす)を祀(まつ)る神社です。
日光東照宮の名所といえば、陽明門(ようめいもん)。日本を代表する最も美しい門で、いつまでも見飽きないところから「日暮の門(ひぐらしのもん)」ともよばれ、500以上の彫刻(ちょうこく)がほどこされています。
また、左甚五郎作(ひだりじんごろう さく)と伝えられている眠り猫(ねむりねこ)、「見ざる・言わざる・聞かざる」の三猿(さんざる)の彫刻が有名です。
小笠原諸島(おがさわらしょとう)~東京都
東京都の小笠原諸島(おがさわらしょとう)は、東京本土からおよそ1000km南にある30あまりの島々です。北から、聟島(むこじま)列島、父島列島、母島列島、さらに 250km ほど南に火山(硫黄)列島があり、日本最東端の南鳥島(みなみとりしま)や最南端の沖ノ鳥島(おきのとりしま)などを含みます。
一般の人が住んでいるのは父島(約 2,000 人)と母島(約 450 人)のみで、島に渡る交通手段は東京からの船だけです。(約25時間30分)
小笠原諸島は、ほかの地域にはない特徴的な生きものの進化や生きもの同士のつながりが見られることが高く評価され、世界自然遺産(せかいしぜんいさん)に登録されました。
富士山-信仰の対象と芸術の源泉~山梨県・静岡県
日本で一番高い山である富士山(ふじさん)。高さはおよそ3776メートルで、山梨県と静岡県にまたがっています。2013年に「富士山-信仰の対象と芸術の源泉※」として世界文化遺産(せかいぶんかいさん)に登録されました。
当初、富士山は世界自然遺産として登録を目指しましたが、ゴミのポイ捨てや不法投棄による環境悪化や開発などの理由で、文化遺産への登録に方針転換されています。
文化遺産の「構成資産」は25か所。世界文化遺産であるのは山だけではなく、富士山周辺の神社や登山道、湖などがあります。
※信仰の対象:人びとが神様や仏様として信じてお祈(いの)りするもの
※芸術の源泉(げんせん):芸術を生み出すもとになるもの
白川郷・五箇山の合掌造り(がっしょうづくり)集落~岐阜県・富山県
1995年に白川郷(岐阜県)と五箇山(富山県)の合掌造り集落が、世界文化遺産(せかいぶんかいさん)に登録されました。茅葺屋根(かやぶきやね)の建物や景観だけではなく、屋根の葺き替え(ふきかえ)などで住民たちが協力し合う生活様式が高い評価を受けたと言われています。
※「合掌造り」とは、木の梁を山形にして建てられた日本独自の建築様式です。山形の屋根が掌(てのひら)を合わせたように見えることから「合掌」造りと呼ばれるようになったと言われています。
百舌鳥・古市古墳群(もず・ふるいちこふんぐん)‐古代日本の墳墓群‐~大阪府
大阪府の百舌鳥・古市古墳群(もず・ふるいちこふんぐん)は、古墳時代に造られた王たちのお墓(はか)で、大阪平野に位置しています。
日本最大の前方後円墳(ぜんぽうこうえんふん)である「仁徳天皇陵古墳(にんとくてんのうりょうこふん)」だけではなく、さまざまな形や大きさの古墳が集まっています。
百舌鳥・古市古墳群のうち、大阪府堺市・羽曳野市・藤井寺市にある45件49基の古墳群は、「百舌鳥・古市古墳群 -古代日本の墳墓群-(もず・ふるいちこふんぐん -こだいにほんのふんぼぐん-)」として世界文化遺産(せかいぶんかいさん)に登録されています。
姫路城(ひめじじょう)~兵庫県
兵庫県姫路市にある姫路城(ひめじじょう)は、1993年に奈良の法隆寺とともに、日本で初の世界文化遺産(せかいぶんかいさん)に登録されていました。シラサギが羽を広げたような姿に見えることから「白鷺城(しらさぎじょう)」の愛称(あいしょう)で親しまれています。
姫路城が世界遺産に登録されたのは、世界的にも美的完成度の高い木造建築物であること、さらに保存状態が良いことなどが評価されたためです。
屋久島(やくしま)~鹿児島県
鹿児島県の屋久島(やくしま)は、1993年に世界自然遺産(せかいしぜんいさん)に登録(とうろく)されました。
樹齢(じゅれい)1000年以上の大きな杉の木は「屋久杉(やくすぎ)」と呼ばれ、世界でも例を見ない珍しいものだとされています。
代表的(だいひょうてき)な縄文杉(じょうもんすぎ)の樹齢は数千年におよぶと言われ、直径3~5メートルにも達します。