福井県にむかしから伝わるご当地妖怪を日本地図とイラストで一覧表にして紹介します。
人魚(にんぎょ)、八百比丘尼(はっぴゃくびくに)、狐の玉(きつねのたま)、いもり…。あなたの知っている妖怪もいるかもしれません。妖怪といっしょに都道府県の特徴や自慢などを紹介しているので、ぜひ覚えてくださいね。
福井県の妖怪・伝説
狐の玉(きつねのたま)
「狐の玉(きつねのたま)」は、家の神棚などにまつると家が繁栄すると信じられている「福の玉」です。この信仰は、福井県南部の若狭湾(わかさわん)沿岸の地域である嶺南(れいなん)地方で今も続いています。キツネが狐の玉を取り返しに訪れた民話も残っています。
むかし、ある寺にかしこい小僧がいました。山の中にすむキツネの巣の中から狐の玉を拾ってきて、自分のつづらに隠しました。狐の玉がないとキツネは人をだますことができません。
ある日、小僧が用事で寺を留守にしたところ、小僧の親がやってきてつづらの中から玉を持って帰ってしまいました。玉をとられたキツネが取り返しに来たのです。玉がないとキツネは化けられませんが、タヌキに化けの皮でもを貸してもらったのでしょうか?
くやしがった小僧は稲荷大明神(いなりだいみょうじん)のところへ行き、神主(かんぬし)の装束(しょうぞく)を借りて、山にあるキツネの巣穴へと行きました。
「こら、キツネ。おるか?」と、小僧は物々しい声で言いました。するとキツネがあわてて出てきて、神主さんの装束を着た小僧さんに頭を下げました。小僧が「お前は大事な狐の玉を寺の小僧に取られたそうじゃな。取り返した玉を見せてみろ」と言うと、キツネは穴の中から玉を持ってきました。小僧は狐の玉を受け取ると、玉を持ったまま山をどんどんかけ下りて行ってしまったということです。
人魚(にんぎょ)
人魚(にんぎょ)は、世界各地に伝説が残されています。
若狭国(わかさのくに)、現在の福井県に伝わる人魚は、頭は人間で首周りにトサカのような赤いものをまとい、首から下は魚という姿です。
漁師(りょうし)が岩の上に寝ていた人魚をうっかり殺してしまったところ、海鳴りが続いて大地震が起きたそうです。
八百比丘尼(はっぴゃくびくに)
人魚の肉を食べて800歳まで生きた娘
人魚(にんぎょ)の肉を食べたことで、不老長寿(ふろうちょうじゅ)を得た八百比丘尼(はっぴゃくびくに)という名の娘の伝説です。
むかし、若狭湾(わかさわん)の村に住んでいた娘が知らずに人魚の肉を食べてしまい、年を取らなくなりました。しかし家族も知り合いもみな死んでしまい、悲しんだ娘は出家(しゅっけ)して全国をめぐり、椿(つばき)の花を植えたそうです。
最後は福井県小浜市に戻り、17~18歳の姿で800歳まで生きたと言われています。
いもり(井守・守宮)
いもりは、いもりと呼ばれるがヤモリの姿をした妖怪。
福井県に伝わる話では、むかし、お坊さんが夜に本を読んでいたところ、身長が4~5寸(約12~15cm)の小人が現れて話しかけてきたそうです。お坊さんは動じることなく小人を無視(むし)して本を読み続けました。
すると、小人は「失礼だぞ」と言って怒り出しました。さらに、その声に応じて何人もの小人が現れて襲(おそ)いかかってきたので、お坊さんは逃げ出しました。
次の日、村人に小人のことを尋ねてみると、かつて戦で城が落とされた際に死んだ多くの武士の魂がいもりの姿となって古井戸に住み着いているということでした。
お坊さんが井戸を見に行くと、話の通りたくさんのいもりがひしめいており、その中心にはひと際大きないもりが大きな目でこちらをにらみつけていたそうです。
お坊さんがお経(きょう)を唱えると、いもりたちは一匹残らず死に絶えました。お坊さんと村人たちはその骸(むくろ)を丁寧にほおむったと伝えられています。
※妖怪の話はこちらに掲載されている内容と異なるものもあります。
※同じ妖怪・似た話がほかの都道府県にも伝わっている場合があります。
※妖怪のイラストはイメージです。