青森県にむかしから伝わるご当地妖怪を日本地図とイラストで一覧表にして紹介します。
メドチ(河童)、水虎様(すいこさま)、赤舌(あかした)…。あなたの知っている妖怪や伝説もあるかもしれません。妖怪といっしょに都道府県の特徴や自慢などを紹介しているので、ぜひ覚えてくださいね。
青森県の妖怪・伝説
メドチ(メドツ)
木のくずから生まれた河童
メドチは青森県に伝わる河童(かっぱ)です。顔は猿に似ており身体は黒いのが特徴です。10歳くらいの子供に化け、人を水の中に誘いこむことがあると言われています。
青森県八戸市(はちのへし)にある櫛引八幡宮(くしひきはちまんぐう)には、メドチ伝説が残されています。
むかし、八幡宮の本殿を建てる際に左甚五郎(ひだりじんごろう)という名工が江戸からやってきました。左甚五郎は忙しかったのか柱の長さを間違えて余分なところに穴をあけてヌキを通してしまいました。間違えた柱の部分を切り取り川へ流そうとすると、木が話し始めました。
「私は八甲田山(はっこうださん)で育ったケヤキの木です。お宮の柱に使われるのを楽しみにしていたのに川に投げ込まなくてもよいではないですか」と言いました。しかし、甚五郎が「何を言うか。尻でも食らえ」と答えて木を川へ投げ捨てたため、木はメドチとなってしまいました。
そのため、メドチの手は柱のヌキのように右手を引っ張れば右手が伸びて左手が短くなるようになっています。また、「尻でも食らえ」と言われたので川で人や馬の尻をねらうようになったと言われています。
※櫛引八幡宮の本殿には鷹(たか)に抑えられたメドツの彫刻(ちょうこく)が残されています。
水虎様(すいこさま)
水難から守ってくれる神様
津軽地方(つがるちほう)にあるたくさんのお寺や神社には、水虎様(すいこさま)がまつられています。水虎様の多くは河童(かっぱ)の姿をした神様です。
むかし、津軽地方の川には河童(かっぱ)がたくさんすんでいました。毎年、何人もの子供が河童により川に引きずり込まれ、死んでいました。
ある男の家にも小さな子どもがいましたが、「子供が河童にねらわれている」という占いが出たため、あわてて近くのお寺に相談にいきました。お寺の和尚さんと話し合い、水虎様という河童の神様「水虎大明神」を寺と川のほとりにまつることになりました。水虎様には河童の好物をお供えし、村の人々とともにおがみました。
以来、この村では子供が河童にさらわれることがなくなったので、水虎様へのお礼にと女の水虎様をつくって夫婦としました。
この出来事は近くの村でも評判となり、たくさんの水虎様がまつられるようになりました。津軽地方では今でも水虎様がまつられ、水難から村を守ってくれていると言われています。
赤舌(あかした・あかじた)
赤舌(あかした・あかじた)は、大きく口を開き、赤く大きな舌を出している妖怪です。妖怪画には爪のある手と毛深い顔を持ち、けもののような姿が描かれていますが、姿はよくわかっていません。
青森県の津軽地方(つがるちほう)では田んぼの水あらそいを解決したと伝えられています。川の下流の村が水不足で困っていた際、上流の水門を何度も開けて下流の村を助けたそうです。
※妖怪の話はこちらに掲載されている内容と異なるものもあります。
※同じ妖怪・似た話がほかの都道府県にも伝わっている場合があります。
※妖怪のイラストはイメージです。